リアルで始まったアクティブ・ブック・ダイアローグ®ですが、2019年からはオンラインでの開催も増えてきました。2020年に入っては、新型コロナウイルスの感染拡大抑止のため、主催者がオンラインに切り替えて対応する動きがよく見られます。
私自身でいうと、リアルでの対話に信仰を持っていたため、オンラインに抵抗はあったのですが、これが試しにやってみるとメリットだらけだったことに気づきます。
この記事では、メインストリームになりつつあるオンラインABD(onABDと呼ばれています)の方法について解説していきたいと思います。
まだ私も手探りなのであくまでも参考にしてください!(あとから更新していくと思います。)
オンラインABDとは?
オンラインABD(以降はonABDと表記)は文字通り、オンライン開催になります。そのため、リアルでは1冊だけあればよかったのですが、参加者全員がテーマとなる本を購入しておく必要があります。
出版社に大いに貢献できますね(笑)
コサマライズやプレゼンの方法には、工夫が必要になります。やりようはいくつかありますが、終始画面共有でスライドを投影しながらやるのが主流ではないでしょうか。スライドは誰もが同時に編集できるクラウド上のファイルが望ましいです。(あとで説明します)
ファシリテーターは、リアルとは考えることが違うので、以前準備が大変だと思います。参加者もオンラインに慣れていればいいのですが、「WEB会議ツールに慣れてない」「onABDの流れが分かってない」ことが多いです。なかには「WEB会議ツールも使ったことがなければ、リアルでのABDもやったことがない」という方もいらっしゃいます。
そのため、ハプニングはあるものだというゆとりある心をもって臨みましょう!ここからはonABDのやり方を共有します。
onABDの進め方
開催する環境
●WEB会議ツール
ツールはたくさんありますが、現状はzoom一択です。
zoomは通話品質もいいですが、最大の差別化要素かつ優位性と思っている機能が「ブレイクアウトルーム」です。このシステムは参加者を複数のグループに分けることが可能です。リアルではテーブルごとに分かれてワークショップをやったりしますよね。zoomではそれがオンライン上でできます。
zoom以外でも複数のルームを立ち上げればできなくはないですが、かなり面倒です。zoomはファシリテーターならルームの出入りが自由ですし、一斉に同じルームに戻ることができます。
ただし、有料アカウントにのみある機能なのでご注意ください。
●画面共有用のファイルはGoogleスライド
プレゼンテーションでは、画面共有が前提になります。コサマライズした紙を見せるときに小さい画面で紙を見せるのはかなりつらいです(^^;
それを解決するために、Googleスライドを推奨します。
onABDでは、参加者全員が同じファイルを編集できる状態が望ましいです。ファシリテーターだけが画面共有を行いつつ進行できます。参加者は自分の手元でファイルを開いて、そこで編集していきます。
事前準備
●ゴール設定をしよう
onABDでも、リアル同様ファシリテーターの仕込みと捌きよって、満足度が大きく左右されます。この場が終わった後、参加者にどのような行動変容が起きたらいいか、どうやったら促進できるかをイメージしておきましょう。
●仕込み
目的達成のための効果が最大化されるよう、プログラムを設計しましょう。
また、分担が決まってしまえさえすれば、当日までに自分のパートを読んでもらってもサマリまでしてもらってもよいかと思います。onABDのファシリテーターによっては、当日までにコサマライズまでしてきてもらって、いきなりプレゼンテーションから入ることもあります。
●準備するもの
・本(一人1冊)
・紙
・ペン(サインペン程度なら十分)
・スマホ(コサマライズの撮影用)
・Office Lens(文書向けカメラアプリ)
・PC(スライド閲覧用)
Googleスライドを使うので、紙やペンは必ずしも必要ではありません。ですが、手書きのほうが表現が多様になりますし、描くスピードは早いので、紙とペンを用意し、スマホで撮影したものをGoogleスライドに貼りつけするようにするとよいです。
スマホで撮影する際は、Office Lensというアプリを使いましょう。紙と文字の部分がはっきりしますし、斜めに撮っても平らに補正してくれます。
オープニング
●チェックイン
チェックインの前に以下を伝えておきましょう
・基本はミュート
・ビデオはなるべくオン
・リアクションはオーバーに
・チャットはがんがん使う
WEB会議では発言者の声に集中できるよう、非発言者はミュートにしておくほうが無難です。ダイアローグでは、これに限りません。少人数ならミュートを強制しなくてもいいかと思います。
また、コサマライズの際は雑音が入るとこれまた集中ができないので、ミュートにしてもらいましょう。ホストは参加者をミュート設定に変更できるので気になったら対応してください。
また、しゃべりっぱなしで反応がないと寂しいので、参加者には大き目のリアクションとチャットへの書き込みを強く要望出しておくとよいと思います!
●オリエンテーション
まずは、今日のABDの進め方を参加者に共有しましょう。
onABDが初めての参加者が多い場合、Googleスライドの編集・画像貼り付けからプレゼンまで一度練習をすることをお勧めします。自己紹介でもいいです。一度でもGoogleスライドに画像貼り付けする経験をしてもらえれば、その後が楽になるかと思います。
メイン
●コサマライズ
リアルでは複数枚にまとめましたが、オンラインでは1枚にまとめるようにしましょう。リアルだと距離があるので、大きめに書かないと見えにくいのですが、オンラインでの画面共有の場合、意外と文字が小さくても見えます。
1枚の紙を4分割にコマ割りすれば、複数のポイントを要約できますし、1スライドのみで完結するので参加者からすれば見やすいし聞きやすいです。
●Googleスライドに貼りつけ
スマホに通常搭載のカメラ機能(というかアプリ)でもいいですが、Office Lensというアプリを使って撮影すると綺麗になります。
貼り付けは結構大変です。
スマホからGoogleスライドに直接貼りつけることもできますが、一度PCに移してから貼り付けでもいいのです。
参加者がやりやすい方法はそれぞれなので、いくつか提示してあげましょう。いかようにも難しい方は、ファシリテーターが何らかの形で画像を受け取り、貼りつけをしましょう。
●プレゼンテーション
プレゼンテーションはオンラインだと経験上、設定時間をオーバーすることが多々あります。リアルだとファシリテーターがタイマーを持つなどして、コントロールしますが、オンラインはつい画面に集中してしまうため、時間経過を見過ごします。
ファシリテーターが自分のビデオ画面に、スマホなどのタイマーを映すこともありますが、ファシリテーターはチャットに書き込めなくなります(^^;
そのため、参加者に能動的に時間管理してもらうか、PCにタイマーアプリをインストールして使うのも手です。(PCによってはプリインストールされていると思います)
ただし欠点がありまして、デスクトップを共有しないと、画面共有とタイマーアプリを同時に表示できません。
ファシリテーターは2画面(なんなら2アカウント)あると、一方を画面共有用、もう一方を多用途で使うと便利です。
●ギャラリーウォーク
オンラインでは、実はいらないかもしれません。リアルだと1枚のスライドを集中してみることがなかなかできないのですが、オンラインは好きなタイミングで振り返ることができます。
私は、休憩時間を挟むのですが、その時間に見てもらうようにしたりします。ダイアローグの時間を多くとれるようであれば、ペアで組ませて10分くらい取り、ざっと全体を通して語ってもらう時間を作ってもいいかもしれません。
●ダイアローグ
zoomの場合、ブレークアウトルームを作ります。
時間が許せば、グループのメンバーを入れ替えて複数回やることをお勧めします。同じグループだと論点が狭まってしまうことがりますので、違う風を入れることで、新たな気付きや発見が生まれます。
なるべく全員が話せる状態を作るために、まずは全員が語る時間を設けたりすることで、対話の時間に参加しやすい心の環境を整えることができます。
エンディング
●チェックアウト
最後は、全員が一言くらい感想を言えるくらいがいいですね。感想でもいいですし、ダイアローグを通じて得た気付きを共有してもよいと思います。
メリットとデメリットは?
メリット
①スライドが見やすい!
画面共有できると、リアル以上にスライドが見やすいです。
リアルだと確度が悪いとスライドそのものが見えなかったり、文字が読めなかったりすることがります。オンラインだとその懸念はなくなりますし、集中ができます。
②場所を選ばない
ABDに限りませんがウェビナーの魅力は参加する際に自宅など好きな場所でできます。
移動時間を有効活用できますので、参加ハードルは低くなりますね。
③事前に読んでおける
ABDは時間内にまとめるという制約があります。
苦手な方もいるので、本番前に読んでおくことも可能です。
デメリット
①本を購入しておく必要がある
リアルのABDの魅力の一つに、自分で本を購入しなくても参加できるというものがあります。オンラインは一つの場所に集えないので、参加者全員が購入する必要があります。(本好きにとっては、破らなくてもいいのでいいですね)
②ファシリテーターの負担が大きい
リアルの場だと、ファシリテーターから参加者にちょっとしたことのサポートをお願いしたりできますが、オンラインだとそうはいきません。onABDを経験したことのある共同ホストを求めておくのもいいでしょう。
またリアルでは自然発生的に参加者同士が会話したりしますが、オンラインではファシリテーターに注目が集まるため、声を引き出す努力をしないと、参加者同士の対話が発展しにくいです。ファシリテーター自身がチャットを使ったりしつつしながら、参加者がつながれるようにしましょう。
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