ABDでのダイアローグの基本を解説

ダイアローグ

アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)の一番の醍醐味でもあり、メインの最後を飾る一番大事なプロセスが「ダイアローグ」です。とにかく、アクティブ・ブック・ダイアローグというからには「ダイアローグ」こそが重要だとご理解ください!

ここでは、ダイアローグの基本について解説していきます。

ダイアローグとは?

言葉通り、”dialogue”=対話という意味です。

「ダイアローグ」と混同されがちなものに、「ディスカッション」があります。ディスカッションは討議を意味していて、何か課題や問いに対して答えを出すために、2つ以上の異なる主張に対してどちらがより正しいかを意思決定するためのアプローチ方法です。

これに対して、ダイアローグ(対話)とは特定の結論に向かっていくという思想を持ちません。2人以上が互いの思ったことを語り、聞く方は聞くことに徹し、お互いを理解することに努めます。自分の思ったことを言葉として放ったり、傾聴を経たうえで、気付きを得ることができます。

その場にあるのは一人一人の貢献で、誰もが優位に立つことなく、対話に参加した人が共同で何かに意味を見いだしていくものです。

どのようなメリットがある?

ダイアローグには、誰かの意見を1つ選ぶことがないため、誰もが自分の思考を否定されることなくなえに進むことができます。そのため、参加者全ての心理的安全性が保たれ、リスクフリーでなんでも好きなことを発言できる自由の場になります。

ディスカッションでは「論破」されてしまい、参加者から新しい意見が出てこなかったり、論破された側がディスカッションの末に採用された主張に心から賛成を得ることはありません。

ダイアローグでは、多様な考え方が場に出現するため、今まで思いもつかなかったアイデアが創出されやすいです。さらに、もしその場で一貫したアイデアが創出されれば、全ての人が勝利することができます。

アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)でのダイアローグは、誰がどこにどのような関心を持ったか、どのように解釈したかを聞くことによって、本の内容および自分の理解を深めることができます。

ダイアローグの注意点

ダイアローグは自由を基本としますが、肝心なのは誰もが自分の考えを口にすることです。自由な場にし過ぎると誰かがしゃべっているときに割り込み持論を語りだして、結果的にずっと喋っている人が出てきてしまいます。

ファシリテーターや参加者は以下のようなルール・意識を持ちながら参加することが求められます。

・全員が一度でも発言するよう促す
・人が話しているときは最後まで聞く

また、参加者が発した言葉は決して否定しないようにしてください。自分の考え方と違ったとしても、「そう思ったのはなぜか」を探る問いかけをして、「この人はこういう価値観を持ち、こう感じたんだ」と理解に努めます。

ABDで効果的なダイアローグ

ダイアローグの前に一人で考える時間を作る

いきなり肩を寄せ合って時間を作られても、まだ自分が感じたことがうまく言葉に出なかったり、どの部分を話したいかなど、まとまっていないこともあります。その状態で始まるダイアローグは最初に言葉を発した人の話題が中心になってしまうことがあります。

ABDでダイアローグのプロセスまで来ると、時間も終盤に差し掛かっています。ひとまず、参加者一人一人がこれまでのプログラムのなかで感じたことを自分の言葉で整理する時間を持つのもよいです。

3~4人のグループに分ける

少人数のほうが、人は言葉を発しやすいです。人数が多いと様子見になってしまい、また発言の機会も少なくなってしまうためです。また、少人数だと一人一人の責任も大きくなり、自然と話さざるを得なくなるという強制力も働きます。

もし大人数でダイアローグをやろうとするなら、いかにして全員が話すことと時間と言う問題をクリアするかを考えておきましょう。20人だった場合、一人1分でも20分かかります。

まず1回は全員が話す

多様な価値観や解釈に触れることが、アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)の魅力です。何気ない一言が、誰かの気付きになり、それが再びその場で創出された愛でとなるかもしれません。ABDは全員参加型のコラボレーション読書法ですので、最後まで全員がその場に貢献するような場を目指します。

グループをシャッフルする

それぞれの小グループで語られる話題や気付きが、全て同じになることはありません。ワールドカフェ(テーブルに一人だけを残し、残りの参加者は別のテーブルに旅をする)という手法に代表されるようなやり方で、グループを一度解散させ、これまでダイアローグを重ねてきたメンバーとは異なる組み合わせで再びダイアローグに臨んでみてください。

そうすることで、あるグループで語られたアイデアと別のグループで語られたアイデアとが紡がれていき、全体でまた新たなアイデアが生まれてきます。

まとめ

ABDのダイアローグについて3つにまとめます。

①お互いを理解し合い、1つの答えを出そうとしない
②多様性を大切にし、全員がアイデアを出す
③個人→グループ→全体でアイデアを紡いでいく

ABDでは、コサマライズとプレゼンに集中してしまい、ダイアローグの時間が割愛されてしまう残念なことがあります。ですが、一番大事なプロセスがダイアローグです。本を通して自分なりの考えをアップデートさせていくためにも、ぜひしっかりと時間をとって実施してみてください。

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