すっかり定着しつつあるオンラインABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)ですが、新型コロナウイルスの流行以前はグループワークがハードルの一つとも言われてました。ですが、すでに自然なものになってますね。制約があるなかで何とかするという人間の適応力(^^;
グループワークには、Zoomのブレイクアウトルームが最も適しています。この機能があるだけでオンラインABDで使うWeb会議システムはZoom一択だと言い切れます。おそらく今後Web会議ツールのアップデートがなされていくといずれのツールでも追加されるかと思います。ですが、もしこの機能が追加されてもしっかりとプロモーションを行わないと、先駆者的なウェビナー主催者はことごとくZoomを使っていると思われるのでスイッチングするにしても時間がかかるでしょう。
それでは、さっそく利活用の方法を解説していきます。
ブレイクアウトルームの設定と使い方
まず設定方法から解説します。
あ、大前提としてブレイクアウトルームは有償プランです。
ただ、新型コロナウイルスの対応で、Zoomは学べない学生や教員などのメールアドレスで登録している場合、2020年8月現在有償プランを無償で利用できるみたいです。
有償プランにアップデートして、「ブレイクアウトルームが使える!」と喜び勇みたいところですが、初期設定で利用がオフになっています(現在この仕様になっているかは不明)。なので、設定を変えます。
図を作りましたので以下、参照してください。
これでブレイクアウトルームが使えるようになります。
オンラインABDでの使い方ですが、主に以下のプロセスで使用することになります。
①チェックイン(参加人数が多い場合)
②ダイアローグ
チェックインは基本、全員が全員を認識できるようにしたいですが、大人数(15人)以上になると自己紹介だけで結構時間を使ってしまいます。なのでブレイクアウトルームを使うこともあります。
ダイアローグではほぼ必須です。参加者が5人以内であれば全員でダイアローグをしてもよいかと思いますが、なるべく3~4人を一組としたグループで対話をしてもらうほうが良いです。一人一人の満足度を高めるために、参加者全員が十分に参加できる時間を確保するようにするためです。
ダイアローグは1回だけではなく、組み合わせを変えて複数回やるほうが、参加者の新たな気付きや問いが生まれやすいので、おすすめです。やり方については後述します。
また、機能的にはメインルームと相違ない形で使えます。ホワイトボード機能を活用してもいいですが、保存忘れが多いので注意が必要です!
グループワークの組み立て
私のおすすめ、というかスタンダードな方法をご紹介します。
ワールドカフェ
「知の探索」という言葉をご存知でしょうか。イノベーションを生み出す理論の一つ言われています。シュンペーターが提唱した新結合(既存知と別の既存知の組み合わせによる新たな知の創出)とも近いです。ワールドカフェは既存知を旅させさらに「知の深化」までができるグループワークです。
なかなか説明が難しいので図で解説したいと思います。
まずワークショップなどでよくやるグループワークを想像してください。ありがちなパターンとして、そのワークショップの最初から最後まで同じメンバーで過ごすというものがあります。しかし、ワールドカフェでは、複数の組み合わせを作らせるために移動してもらいます。
今まで対話をしていたテーブルに一人を残ります。そして残りの参加者が移動します。
テーブル数と参加者によってということにはなりますが、今回の例では全員にとって初めて対話をする相手になります。
この組み合わせの変更に、どのような効果があるのでしょうか。
例えばグループ1では「●●●」という話題で終始してたとします。そこでグループ1のテーブルにはAさんが残ったとします。ここにグループ2のDさんが「△△△」という話題を持ち込んだり、グループ3のIさんが同じ「●●●」の話題でも異なる解釈を持ち込んだとしたら、全く違う話の流れになりそうですよね。
ワールドカフェはこのように、既存知と既存知を組み合わせて創発的な対話ができるような方法なんです。
オンラインABDでは主にzoomのブレイクアウトルームを使います。例えば15分ほど1つの組み合わせのダイアローグをしてもらったあと、また一度全員がメインルームに戻りますよね。そうしたらファシリテーターがブレイクアウトルームの組み合わせを変更します。
組み合わせの変更をワールドカフェのお作法にならってやろうとすると、最初の組み合わせを全てメモしていないといけないので、ランダムで組み合わせを決定するのが良いでしょう。もし参加人数が少ない場合は手動でも大丈夫かと思います。
ピースメイキング・サークル
気が付いたらあの人ばかりが話している…なんてこと会議でもありがちですよね。対話してもらおうというワークショップでも、そのまま「はい、みなさんで話し合ってください」なんていうだけで放っておくと、そうなってしまいがちです。また、せっかく話をしているところに被せるように「それは違うよ!」とか自分の意見を主張しだしてしまうことも…。ピースメイキング・サークルは、順番に一人一人の言葉に耳を傾けるという話し合いの手法です。
その起源はカナダの先住民の習わしだったそうですが、欧米で徐々に取り入れられているそうです。
やり方は簡単です。まず対話の参加者が輪になります。気持ちの準備ができた人が話しを始めます。反している人以外はただ聞いているだけです。全ての話が終わったら隣の人に順番を回していきます。(どうやら儀式的なものらしいので、話す人は「トーキングピース」というオブジェクトをもって話します。これはペンでもボールでもなんでもいいです。)
ピースメイキングサークルの良い点としては、全員が必ず口を開くことができる点と、それに伴い多様な考え方に触れることができるという点です。途中、誰かの話が気になったらそれについて自分の考えを話したっていいんです。
オンラインABDでの使いどころはというと、ダイアローグの終盤が多いかと思います。私は、グループでのダイアローグでも使っています。ただし1周だけしかしません。まず参加者が口を開くということを通過儀礼的にやってほしいのでそうしています。
ピースメイキング・サークル、ぜひ活用してみてください。
まとめ
オンラインABDでのグループワークのベースとなるのは、ブレイクアウトルーム。利用するためには有償プランへの変更と、ミーティングの基本設定の変更が必要になるので、注意してください。
ブレイクアウトルームの設定は昨日の話なので、そこから先の工夫は腕の見せどころです。
・参加人数によって1グループの人数を調整
・ワールドカフェ形式で既存知と既存知を融合
・ピースメイキングサークルで傾聴
以上が基本かなと思います。発展方法があればぜひ教えてください!
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